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東京高等裁判所 昭和50年(行ケ)10号 判決 1977年3月15日

原告

見村登

右訴訟代理人弁理士

渡辺勤

被告

特許庁長官

片山石郎

右指定代理人通商産業技官

東野好孝

外一名

主文

特許庁が昭和四九年九月三〇日同庁昭和三九年審判第一九五〇号事件についてした審決を取消す。

訴訟費用は被告の負担とする。

事実

第一  当事者の求めた裁判<略>

第二  請求原因

一  特許庁における手続の経緯

原告は、昭和三六年三月七日特許庁に対し、名称を「高速角度自由切断機」とする発明につき特許出願をしたが、同三九年三月二九日拒絶査定を受けた。そこで原告は同三九年四月二九日審判の請求をし、同年審判第一九五〇号事件として審理されたが、同四四年五月二八日「本件審判の請求は成り立たない。」旨の審決があり、昭和四四年七月九日右審決の取消を求める訴を東京高等裁判所に提起(昭和四四年(行ケ)第六七号)、昭和四五年二月二七日右審決を取消すとの判決があつた。

そこで特許庁はあらためて審理の上昭和四六年一〇月四日に出願公告決定をし、昭和四七年二月一七日に出願公告(昭和四七年特許出願公告第五五九九号)された。これに対し昭和四七年四月一五日富士製砥株式会社より異議申立があり、特許庁はこれに基づいて昭和四九年九月三〇日に再度「本件審判の請求は成り立たない。」旨の審決をし、右審決謄本は昭和五〇年一月二五日原告に送達された。

二  本願発明の要旨

機枠に沿つて上下に昇降し得るように架装した中心軸の下部に、垂直に立てた回転砥石の直径線が上記中心軸の中心線に一致するように回転砥石を装設して該中心軸の回動に伴い回転砥石をその同一中心線を中心として左右に回動し得るように構成し、以つて被切断物を同一中心線上において二角度以上に切断し得るように構成したことを特徴とする高速角度自由切断機。

三  審決理由の要点

本願発明の要旨は前項のとおりである。

ところで英国特許第七八八〇六四号明細書(以下「引用例」という。)には「工具は作業ヘツド組立体12aの軸X―X'に沿つた並進運動と、軸X―X'の周りの回転運動ができる」「キヤリツジ14aはモータを取付けたプラツトフオーム17aと、支持腕20aの端の工具支持部により支持された回転工具19aを有する作業ヘツド組立体12aを支持しているドラム16aに取付けられている」との記載があり、また同明細書と図面でモータ18aと回転工具19aとの間はベルトで駆動されている点からみると、モータ18a、台17a、軸20a、回転工具19aは作業ヘツド組立体12aとして一体のものとなつており、かつ軸X―X'に沿つて並進および回転運動するものと認められる。それゆえ、その第三・四図およびその説明には、機枠に沿つて上下に昇降できるように架装した中心軸の下部に、垂直に立つた回転砥石の直径線が上記中心軸の中心線に一致するように回転砥石を装設して、該中心軸の回動にともない回転砥石をその同一中心線を中心として左右に回動できるように構成した切断機が示されているもの(以下「引用実施例」という。)と認める。そしてこれが種々の形状のものの横断・斜断・縦断に用いられるものであるから、被切断物を同一中心線上において二角度以上に切断できるように構成されていることは明かである。

したがつて、本願発明は引用例と同一のものと認められるので、特許法第二九条第一項第三号の規定により特許を受けることができない。

四  審決取消事由

審決には次のような過誤がある。したがつて、審決がそれに基づき本願発明と同一であると判断したのは違法であつて取消されねばならない。

(一)  (主張)

1 審決は、引用実施例は垂直に立てた回転刃物の垂直方向の直径線が、この回転刃物を支持し、かつ、これを上下に昇降させるための中心軸の中心線と常に一致するような状態で、その中心軸を中心として左右に回動するものであるから、被切断物を同一中心線上において二角度以上に切断し得るように構成されていると認定しているが、これは誤りである。

引用実施例は回転刃物19aがドラム16aの中心から偏心した位置で支承されている支持アーム20aの中心軸X―X'を中心として左右に回動するものである。したがつて、回転刃物19aの向きを変えるためにその支持アーム20aを回動すると回転刃物19aの中心点は第四図に図示の位置にとどまつていることができず、偏心距離を半径とする円の円周に沿つて移動し、回転刃物の向きを変える度毎にその中心点が移動することになる。そうすると、本願発明のように被切断物の位置を少しも移動することなく、そのままの位置で同一中心線上において角度を変えて二角度以上にわたつて切断することは不可能というほかない。

2 このことは、引用例の特許請求の範囲第四項に「特許請求の範囲第一項の中に請求したごとき切断機で、それでは配向アームは入れ子構造を有し、また支持アームは配向アーム軸心の周囲を旋回するように、また支持アーム軸心に沿つて並進的に移動し、またその軸心の周りを回転するように取付けてある」との記載があることから明らかである。すなわち、この記載によると、引用実施例における支持アームはそれ自身の軸心の周りを回動するものであることが明らかであり、また引用実施例に関する明細書の具体的な説明には「刃物には作業ヘツド組立体12aの軸心X―X'に沿つた並進運動、この並進運動はハンドル15aにより制御され、また刃物の送り運動を行う。および軸心X―X'の周囲の旋回運動の両者が与えられることは明瞭である。」と記載され、第四図にはドラム16aの中心から偏心した位置に支持アーム20aが図示され、かつ第三図においてモーター18aと回転刃物19aとの間にベルトが張設されて図示されていることからすると、「作業ヘツド組立体12aの軸心X―X'」とは、ドラム16aの中心から偏心した位置にある支持アーム20aの軸心を指すものというほかない。

(二)  (反論)<省略>

第三  被告の答弁

一  請求原因第一、二、三項の事実は認める。

二  同第四項の取消事由は争う。審決は正当であつて原告主張のような違法はない。

(一)  (認否)<省略>

(二)  (主張)

引用実施例はドラムの中心線を中心軸として回動するものである。その根拠はつぎのとおりである。

1 引用例においては発明の目的として「回転刃物を用い金属・プラスチツク等で形成された種々雑多の姿および形態の機素の横断・斜断および縦断を意図する切断機に関する」との記載があり、その特許請求の範囲第一項の記載によれば「回転刃物およびその駆動モーターを支持するためのヘツドを組み込む作業ヘツド組立体よりなる切断機で、前記モーターおよびヘツドは支持アームの反対端部にそれぞれ装着しており、また切断機は加工物取付テーブルと加工物取付テーブルに対して作業ヘツド組立体の高さ調整および縦方向組立軸心の周囲とその軸心に対し直角な軸心の周囲に回転運動が行われるように作業ヘツド組立体を支持するよう配設してある配向アームを包含する」とあり、同第二項には、「配向アームはかり首形でテーブルから突出し、上方配向アーム端部の末端はそれ自身の軸心の周りで回転自在であり、また次に支持アームを支持するカラーを支持している」と記載され、さらに同第三項には「前記支持アームはカラーを横切つて直径方向に配置した軸心で回動するように配置されている。」と記載されている。そして特に回転刃物の直径線が中心軸の中心線と一致するように回転刃物を装設した点については、「ヘツドおよびモーターで形成された組立体は垂直面内で軸11を中心に回動でき、かつカラー12が軸受13に対して回動できる」と説明に記載され、第一図、第二図において具体的に図示されているところからも明らかである。

このような第一実施例の構成を念頭に入れて同一発明の他の実施例である引用実施例をみると「ハンドル15aによつて上下動するキヤリツジ14aにドラム16aは固着され、このドラムに作業ヘツド組立体12aは収容されている」と説明に記載されているところから、ドラム16aは非回動であることがわかり、回転刃物側のプーリーと駆動モーター側のプーリーとの間にベルトが掛けられているところよりすると、回転刃物の左右への回動に際しこのベルトが捩れたり、外れたりしてはならないものであるから、モーターつきプラツトフオーム17aがドラム16aに対し回動すると考えなければならず、引用実施例においても回動中心軸線がドラム16aの中心を通る縦軸線と一致した状態で左右に回動するものと把握されねばならない。

2 回転刃物の回動の具体的機構は次のとおりである。

(1) 引用実施例における回転刃物がドラム16aの中心軸線の周りに回動するための構成として考えられるものは、非回動ドラム16aの上下にある蓋板内面の環状リムがドラム内部に収容され、かつ支持アーム20aが上下蓋板に貫通固着されており、該蓋板の回動により回転刃物19aは上下蓋板の中心すなわちドラムの中心線を中心として回動される構成である。引用例第二頁第五四行における「receives」はかかる環状リムをドラム内部に「収容する」あるいは「受け入れる」という意味をもち、またドラムの中心線を中心として回動する方法としては、円板に設けた環状リムがドラム内面に沿つて回転する手段が慣用技術であるからである。

(2) 引用例において引用実施例を示す第四図には回転刃物の左右回動を表わす円弧状の二個の矢印が図示されているが、これら二個の矢印は回転刃物19aがドラム16aの中心線の周りを回動するようドラムの中心の左右に均等に配置されている。

(3) 一般に図面においてX軸・Y軸として表現される場合は、喰違いは特殊の場合に限られ、通常は二軸線が交わるのを常識とするので、引用実施例第三図のX―X'はY―Y'と同一平面にあるものと認められ、その結果X―X'はドラムの中心線とならざるを得ない。<以下、事実略>

理由

一原告の主張する請求原因第一、二、三項の事実は当事者間に争いがないが、同第四項については争いがある。

二そこで、原告主張の審決取消事由の有無について判断する。

本件の争点は当事者双方の主張並びに弁論の全趣旨に徴し、引用実施例における回転刃物19aがいかなる中心軸を中心にして左右に回動するか、すなわち回転の中心軸X―X'を原告主張のように支持アーム20aの断面の中心と解すべきか、あるいは被告主張のようにドラム16aの中心軸と解すべきかに帰する。以下、双方の主張に沿つて検討する。

(一)  原告の主張について

引用例は英国特許明細書である。同国の特許制度の慣行からすると、特許請求の範囲第一項は総括請求の範囲としてすべての実施例に共通する技術事項を包含する上位概念の発明が記載されているものと考えられる。このことは記載の文脈からも肯認できる。

そこで、発明をより具体的に記載しているとみられる特許請求の範囲第二項以下の記載をみると、同第二項には「第一項記載の切断機において配向アームがかり首の形でテーブルから突出し、上方配向アーム端部の末端はそれ自身の軸心の周りで回転自在であり、また支持アームを支持するカラーを支持している」とあるから第一、二図と照合すれば第一実施例特有の構成についての記載と認められ、また同第三項には「第二項の切断機において……」とあるから、これも第一実施例についての記載であることは明かであるが、同第四項には「第一項記載の切断機において、配向アームは入れ子構造を有し、また支持アームは配向アーム軸心の周囲を回動するように、なおまた支持アーム軸心に沿つて並進的に移動して……」と記載されているから、第三、四図とを照合すれば引用実施例について記載されていることが認められる。つぎに第五項の記載は実質的には前四項と格別異つた構成のものが記載されているわけではないから、結局引用実施例に関する技術内容の把握は、発明の詳細な説明の項の記載のほかに特許請求の範囲第四項の記載によらねばならないことになる。

ところで、同第四項には「作業ヘツド組立体は支持アーム軸心に沿つて並進的に移動し、またその軸心の周りを自転する」旨の記載があるので、前記垂直方向の軸心X―X'は支持アーム20aの軸心をさすと解せざるを得ない。一方第三、第四図をみると、支持アーム20aはドラム16aの中心から偏心した位置に支持されているように描かれており、この支持アーム20aの上端が幾分細くなつて段部が形成されているところからすると、この部分でドラムの16a上部蓋板に支持され、切断時に発生する推力(垂直方向上方に向う被切断物の抵抗力)を受けるよう構成されていると考えられるので 回転刃物19aは支持アーム20aの断面の中心の周囲を左右に回動するものであり、この支持アーム20aはドラム16aの中心から偏心した位置に支持されているから、ドラム16aの中心の周囲を回動するとは認められない。

なお、被告は特許請求の範囲第四項の記載は異質の技術が附加されたものであると主張するが、仮りにそうとすれば、発明の詳細な説明の項中にその旨の記載がなければならず、特許請求の範囲にその発明の本質と関係のない異質の技術がいきなり記載されていることは明細書記載の常識上到底考えられない。

(二)  被告の主張1について

前記のとおり引用例の特許請求の範囲第一項は総括請求の範囲としてすべての実施例に共通する技術的事項を包含する上位概念の発明が記載されているものと考えられるので、その基本的発明思想は、この特許請求の範囲第一項と発明の詳細な説明の項中の発明の目的・効果に関する記載により把握すべきであろう。

そこで、特許請求の範囲第一項の構成要件と第一実施例、引用実施例のそれぞれの構成とを対応させてみる。

第一実施例は、作業ヘツド組立体は刃物支持ヘツド3、モーター4、回転刃物5、支持アーム6、プラツトフオーム7、支持カラー12よりなり、この作業ヘツド組立体が配向アーム2の先端部分の軸受部13にカラー12を介して支持され、この配向アーム2を上下動させることにより作業ヘツド組立体の作業テーブル17に対する高さ調整が行われ、また作業ヘツド組立体はその支持カラー12が軸受13内を回転することにより縦方向軸心を中心として左右に回動することができ、この回動により被切断物の斜断・横断・縦断が行われ、この際の回転刃物の送りは、カラー12に固定した軸11を中心とした垂直面内の円孤運動により斜め上方から行うものであることが認められる。

他方、引用実施例は、作業ヘツド組立体12aはプラツトフオーム17a、モーター18a、回転刃物19a、回転刃物の支持ヘツドおよび支持アーム20aよりなり、この作業ヘツド組立体12aは配向アーム3aの先端部に支持され、この配向アーム3aの上下動により作業ヘツド組立体12aの作業テーブルに対する高さ調整がされ、また作業ヘツド組立体12aはその軸心X―X'の周囲に回動することにより被切断物の斜断・横断・縦断が行われ、この際の刃物の送りは、ハンドル15aの操作により作業ヘツド組立体12aがキヤリツジ14aとともに垂直方向に直線運動することにより行われ、さらに配向アーム3aが二個の入れ子管により形成され伸縮自在であり、その先端部は互いに相対回転できる二個の板部10aおよび11aよりなる回転接合部を有するので作業ヘツド組立体12aは配向アーム3aの中心軸Y―Y'軸の周りをも回転できるようになつていることが認められる。

右各実施例に対応させて特許請求の範囲第一項の発明の構成を抽出してみると「配向アームの先端に作業ヘツド組立体が支持されて、この作業ヘツド組立体には回転刃物とその駆動モータとが組込まれ、かつこの回転刃物と駆動モーターとは支持アームの反対端部にそれぞれ装着され、作業ヘツド組立体の作業テーブルに対する高さ調整は配向アームを上下動することにより行い、また作業ヘツド組立体はそれ自身の縦方向軸心の周囲を回動するとともに、該縦方向軸心と直角の軸心の周囲をも回動することのできるようにした切断機」となり、この構成により「種々の形態の機素の横断・斜断・縦断を行うに際し調整が容易であるようにした」ものである。

引用例の各実施例に共通する基本的な発明思想は以上のように把握すべきである。そうすると引用例は、被切断物を単に横断・斜断または縦断することを意図するにとどまり、被切断物を移動することなく同一中心線上において二角度以上に切断することまで目的とするとまではいいがたく、具体的には「回転刃物の垂直方向の直径線が作業テーブルに対し常に不動の位置にある状態で、この回転刃物が垂直軸を中心として左右に回動する」構成までその要件としているとはいいがたい。もつとも、第一実施例においては、作業ヘツド組立体がカラー12の縦方向中心軸を中心として回動し、かつこの中心軸と支持アーム6の中心軸とが一致しているから回転刃物5の垂直方向の直径線と支持アーム6の中心軸とが常に一致した状態でこの中心軸を中心として回転刃物5の角度調整が行われるものであるが、上記の基本的思想の検討からすると、たまたま第一実施例のものが前記の構成であつたからといつて直ちに引用実施例も同一の構成と解すべき理由にはならない。

したがつて基本的な技術思想としての発明の詳細な説明と特許請求の範囲第一項の記載のみでは、引用実施例のX―X'軸が支持アーム20aの断面の中心であるかドラム19aの中心なのか、にわかに断定しがたい。

(三)  被告の主張2について

1  被告は、引用実施例における作業ヘツド組立体の回動機構として考えられるのは、ドラム16aの上下の蓋板の各内面に環状リムが取りつけられ、この環状リムを介して上下の蓋板と作業ヘツド組立体とが一体となつてドラム16aの中心軸の周りを回動する構成であると主張するが、このような具体的構成は引用例に何ら記載されておらず、また右のような環状リムによる回動手段が慣用技術であることを認むるに足りる証拠はない。なお乙第二号証は本願出願前の刊行物ではない。

2  被告は引用実施例の第四図には回転刃物の左右回動を表わす二個の矢印が図示されており、この二個の矢印は回転刃物がドラムの中心軸線の周りを回動するようドラムの中心の左右に均等に配置されている旨主張するが、第四図に示す矢印が特にドラム16aの中心軸の周りに回動するような説明は何もないので、このような不確かな図示によつて回転刃物がドラム16aの中心軸の周りを回動すると断定することはできず、単に回転刃物が左右に回動する方向を表わすにすぎないものというほかない。

3  被告は、一般に図面においてX軸・Y軸を表わす場合、通常これらの二軸は交わるものであるから、引用実施例の第三図のX―X'とY―Y'とは同一平面にあることになる旨主張するが、引用例にこのような趣旨の記載がないばかりではなく、一般に機械の構造を表わす図面においてX軸とY軸とが交わるのが通常であるとする根拠は見当らない。むしろ特許請求の範囲第四項の記載と第四図とを照合すれば、X―X'軸とY―Y'軸とは異なつた平面上に在ると解される。したがつて、X―X'軸とY―Y'軸の図示により直ちにX―X'軸がドラム16aの中心軸をさすとは断定しがたい。

(四)  以上検討したところを総合すると、審決引用実施例は、その回転刃物19aが支持アーム20aの中心軸を中心として回動するものであると認められこそすれ、被告主張のようにドラム16aの中心軸を中心として回動するものとは到底認めがたい。そうだとすると回転刃物19aを左右に回動させれば支持アーム20aはドラム16aの中心から偏心した距離を半径とする円の円周に沿つて移動し、回転刃物の向きを変える毎にその垂直方向の直径線とドラム16aとの関係、ひいては作業テーブルとの関係が変わることになり、回転刃物を常に不動の同一線中心線を中心として左右に回動することができないから、被切断物を移動することなくこれを同一中心線上に二角度以上に切断できるという作用効果を奏することはできない。

そうすると、審決には原告の主張するような誤認があるというべきであるから、これに基づき本願発明と引用例とは同一であるとした審決は違法であつて取消を免れない。<以下、省略>

(杉本良吉 舟本信光 小酒禮)

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